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2/26 米ロ復活のフィギュア、羽生に続く選手育成急務

(2014-02-26)

報道機関

日本経済新聞

見出し

米ロ復活のフィギュア、羽生に続く選手育成急務

発行日

2014226日 700

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK24008_U4A220C1000000/

◆内容◆

羽生結弦(19、ANA)とアデリナ・ソトニコワ(17、ロシア)、男女ともに10代選手が金メダリストに輝き、世代交代を印象づけたソチ五輪のフィギュアスケート。ロシアと米国が復権の兆しを見せる一方、ブームのけん引役で実力、人気を兼ね備えた浅田真央(中京大)、高橋大輔(関大大学院)の2人が一線を退くとすれば、日本フィギュア界は世界とどう戦っていくのか。期待を一身に背負う羽生の負担は計り知れない。

10代選手、高い基礎点に出来栄え点も

 浅田のこの4年間の成長を凝縮したような今大会でのフリー。これほどの演技は2007年世界選手権(東京)以来だろう。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、3回転フリップ―3回転ループ、ダブルアクセル(2回転半)―3回転トーループ……。当時と同じ高難度のジャンプを次々と跳び、ジャンプの浅田を見せつけた。

 浅田は技術の基礎点は高いものの、出来栄え点(GOE)がつきにくい選手だった。一方の金妍児(キム・ヨナ、韓国)は技術点は抑えてGOEを稼ぐ。それが2人の対決を面白くしていたが、時代は変わったと感じずにはいられなかった五輪だった。

 ソトニコワ、5位のユリア・リプニツカヤ(15、ロシア)、4位のグレーシー・ゴールド(18、米国)ら10代選手は高い基礎点を持ちながら、GOEも稼ぐ。新採点システム導入の動きが本格化したのが02年ソルトレークシティー五輪後。彼女らは当時4~7歳、ようやくスケートを始めたころだ。

ロシア勢、独創的なスピンのポジション

 当時の女子トップ選手の3回転ジャンプは「今の基準なら完全に回転不足なものが多い」といわれる。今回8位以内に入った10代選手はいずれもトリプルアクセルを跳べないが、高難度の連続ジャンプに加えて、全種類の3回転ジャンプをマスターしている。一見ノーミスのようでも2つ回転不足と判断された浅田に対し、彼女らは転倒しない限り回転不足にもならない。特にソトニコワ、リプニツカヤのロシア勢2人はスピンのポジションも独創的だった。

昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルに出場した女子のロシア勢には、この2人以外にも1415歳の選手が計4人もいた。米国勢はゴールドに加え、ソチ五輪9位のポリーナ・エドマンズ(15)もいる。ジュニアGPファイナルに出場した6人のうち4人がロシア選手で、残る2人は米国選手。しかも表彰台はロシア勢が独占した。ただ懸念材料は成長に伴う体形の変化。10代半ばの女子選手は子ども時代とジャンプのタイミングが変わり、苦しむ時期がある。ソトニコワとライバル争いをしていたエリザベータ・トゥクタミシェワ(17、ロシア)の今季がそうで、五輪に出場できなかった。

高橋引退、羽生への影響大きく

 一方、日本では村上佳菜子(19、中京大)、宮原知子(15、関大高)らの時代になる。だが、選手層が厚く国内競争の激しいロシア、米国と比べ見劣りする面は否めない。

 男子には世界一の羽生がいる。しかし、これまで8年間、日本の男子フィギュア界をけん引し、メディアの注目も集めてきた高橋が引退するとすれば影響は大きい。織田信成(関大大学院)が退き、残るは町田樹(関大)、小塚崇彦(トヨタ自動車)。懸念材料は下の年代から目立った選手が出てきていない点にある。男女ともに選手層が薄くなれば、日本は世界選手権の男女最大の出場枠を維持することが厳しくなる。さらにペアとアイスダンスの有力選手がほとんどおらず、今後は団体競技にも出場できない可能性が出てくる。

 こうした状況では、羽生の負担はますます大きくなるだろう。一番人気の高橋と浅田も現役を引退すれば、期待も注目も一身に集めることになり、羽生にとっては初めての経験になる。

競技へのモチベーション保てるか

 競技へのモチベーションをどう保つかという問題に直面するかもしれない。「五輪で金メダルをとってしまうと、次の試合を頑張るのは精神的に非常に難しい」。トリノ五輪の荒川静香、長野五輪のタラ・リピンスキー(米国)と2人の金メダリストはこう口をそろえた。連続メダリストは多いが、金メダルを花道に引退する選手が大半。男子で五輪連覇を果たした選手は1952年のディック・バトン(米国)を最後に現れていない。

その一方、五輪で悔しい思いをした選手はモチベーションを保ちやすい。今回2~4位の3選手はいずれも昨季世界選手権のメダリスト。4年前は全員10代で5、1114位に終わっていた。

20代前半の選手、次回へ巻き返しも

 今回銀メダルのパトリック・チャン(23、カナダ)は学業への興味を示しているが、カナダの先輩で羽生のコーチを務めるブライアン・オーサー氏は22歳のとき、84年のサラエボ五輪で銀メダルを獲得。続く88年カルガリー五輪でも同じく銀メダルを手にした。

 銅メダルのデニス・テン(20、カザフスタン)は今季直前、スケート靴を履き慣らす過程でできた傷口からウイルスが入り、体調を崩した。この影響による出遅れが最後まで響いた形だ。羽生の練習仲間で4位にとどまったハビエル・フェルナンデス(スペイン)も22歳。「今季のプログラムは合っていない」とされ、不完全燃焼で終わった。

 ソチ7位の閻涵(17、中国)、9位のジェイソン・ブラウン(19、米国)は今後の伸びしろが大きな選手だ。ブラウンは4回転ジャンプがプログラムにないが、「今の米国なら跳ばなくても代表になれる。まず五輪を経験しよう」という意図的な作戦。既にパフォーマンスは各国で人気がある。

国際スケート連盟が異例の声明

 ソチ五輪は採点問題で後味の悪さも残した。女子で採点への疑問が出て、国際スケート連盟が「採点は厳しく公正に行っている」と声明を出したほど。長年、この問題を追いかける記者の多い欧米で「得点がおかしい。ソトニコワに高く出すぎだ」という趣旨の記事、発言が目立った。

 前回バンクーバー五輪でも開幕直前、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)の演技構成点に疑問を呈するメールが審判間に流れ、騒ぎとなったことがある。

 今大会で団体、ペア、女子3種目の金メダルを含む5つのメダルを獲得したロシア勢は、銀と銅1つずつに終わった4年前の無念を晴らした。五輪旗を引き継いだ次の開催地、韓国の平昌ではこうした問題が起きず、無事クリーンに終わることを願いたい。(原真子)

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エキシビションに出演した日本勢。これからは羽生(右から2人目)が日本フィギュア界をけん引する

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人気と実力を兼ね備えた高橋が引退する影響は大きい

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金メダルに手が届かなかったチャン(右)らは悔しさが競技へのモチベーションになる



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2/5 フィギュア、浅田に勝機 長野女王が占う戴冠の行方

(2014-02-05)

報道機関

日本経済新聞

見出し

フィギュア、浅田に勝機 長野女王が占う戴冠の行方

配信日

201425 700

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK31006_R30C14A1000000/

◆内容◆

 高難度ジャンプをいとも簡単に跳び、1998年長野五輪のフィギュアスケート女子を史上最年少で制したタラ・リピンスキーさん(31)。当時、表現力豊かなミシェル・クワンとの10代の米国勢対決は話題になった。リピンスキーさんが子どもたちに与えた影響は大きく、彼女に憧れた選手の中にはソチ五輪に出場する浅田真央(中京大)、アシュリー・ワグナー(米国)らがいる。

五輪はメンタル90%・フィジカル10

 リピンスキーさんは今回、米NBCテレビの解説者兼アナリストとして、昨年現役を引退した男子のジョニー・ウィアさんと登場する。長野五輪後にプロに転向、当時はプロのフィギュア界が最も華やかだった時代で、アイスショーや数々のプロの大会でも優勝。ここ数年は解説の仕事を中心に活動してきた。

「五輪というのは予測が難しい。どんな一流選手でもわずかに体が震えてしまう。それをねじ伏せられるのは『私はやれる』という自信だけ。上位10選手のプログラムのレベルに大差はない。勝敗を分けるのは力を出し切れるか。五輪に関していえばメンタル90%、フィジカル10%だと思う」

フィラデルフィアに生まれ、6歳でスケートを始めたリピンスキーさんの場合、1日5回プログラムを通して演じ、自信をつけたという。「安定性が大切」と何度も繰り返し、大舞台の経験を重視する。その点を踏まえて、2010年バンクーバー五輪でもしのぎを削った浅田と、金妍児(キム・ヨナ、韓国)を金メダル候補の中心に挙げた。

 「ヨナは1年間休養して、昨年3月の世界選手権を制したのには驚いた。ジャンプも戻っていたし、ミスがない。スケートの才能に加え、ずばぬけた度胸もある。でも、バンクーバーのような完璧な演技がまたできるとは思えない

この4年間で金妍児のジャンプ構成は世界トップ級とは言えなくなった。今季は小さな国際大会と韓国選手権の2大会しか出場しておらず、判断が難しい。それでも、スケート界では「ヨナ連覇」とみる声は多い。

浅田は挑戦恐れず、練習熱心

 「彼女は金メダルをとれるだけの基礎点はあるし、メンタルはめっぽう強いから。一方で彼女より基礎点が高い選手がいて、面白い戦いになる」

 日本のファンの間では「審判はヨナに高い得点を出す」という不満の声は少なくない。リピンスキーさんは苦笑しつつ、「真央派」を宣言した。

 「審判はいつもヨナに注目して、真央はレーダー圏外のような面があったけれど、今季は違うと思う。スロースターターの真央が素晴らしいシーズンを送っているし、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は魅力的」

 「彼女は挑戦を恐れず、練習熱心。彼女はリンクの外でも氷上と同じようにすてきな女性でしょう。そうでない人も多いから」

 3回転ループ―3回転ループ。現在でも高難度の連続ジャンプをこなしたリピンスキーさんにしても、トリプルアクセルは非常に難しいという。それをフリーで2度跳ぶのはリスクも高い。

ロシア勢、米国勢の復活も

 「信じられない。だから、真央はすごい選手なの。それを怖がっていたら、真央でなくなってしまう。バンクーバーもそうだったけれど、真央は『跳ぶ』という強い意志がある。クリーンに滑れば、金メダルを取る可能性は十分あると思う」

 06年トリノ五輪からバンクーバー五輪までの4年間は浅田、金妍児、安藤美姫による「アジアの時代」だった。今回のソチ五輪までの4年は、自国開催に向けて強化してきたロシアの選手や12年世界女王のカロリナ・コストナー(イタリア)ら欧州勢も強い。リピンスキーさんの母国、米国も復活の兆しがある。

「アデリナ・ソトニコワ(17)とユリア・リプニツカヤ(15)。ロシアがソチのために育てたと分かる。私はユリアが好きよ。今季、グランプリ(GP)シリーズで結果は良くても内容に不満だったと、インタビューでふてくされた。簡単に満足しない女王のメンタリティーを持っている」

リプニツカヤに女王のメンタリティー

 ロシア代表の2人のジャンプ構成は世界トップレベルだ。

 「ソトニコワは12歳から注目されたソチ期待の星で、3回転ルッツ―3回転ループの連続ジャンプがあり、何でもできるといっていい。ただ、ショートプログラム(SP)とフリーで、すべての要素をこなせるか。一大会の中でアップダウンがあるから、五輪はきついかもしれない」

 イタリアのコストナーはトリノ五輪から3大会連続出場となる。その滑りの美しさは群を抜く。

 「しかも誰よりも速い。でも彼女は高難度の3回転ジャンプ、ルッツとフリップを1つずつしか跳ばない。2年前なら演技構成点を稼げば女王になれたけれど、状況は変わってしまった。ノーミスが絶対条件だから、厳しいと思う」

ゴールド、最も才能のある選手の1人

米国は18歳のグレーシー・ゴールドが全米初優勝。2位に15歳で母親がロシア人のポリーナ・エドムンズ、3位は長洲未来だった。しかし、前回代表の長洲でなく、4位のワグナーが選ばれた。2年連続の全米優勝、世界選手権トップ5、今季GPファイナル3位の実績が評価された。

 「グレーシーは私が長くスケートを見てきた中で最も才能のある選手の1人。ジャンプに欠点がない。ただ、自分に自信を持ちきれず、試合では練習のときと別人になってしまうことがある。全米では克服していたけれど」

エドムンズは全米がシニアデビュー戦で、ジュニア時代も目立った成績がなく、評価しづらい。ワグナーはバンクーバー五輪代表選考会で3位だったが、米国は2枠しかなく出場できなかった。リピンスキーさんはワグナーのメンターのような役割をしたことがある。

 「アシュリーは強くなったけれど、問題はいつも彼女自身と氷の間にある。心ね。全米の経験を生かしてほしい」

男子はチャンと羽生の戦いか

 男子は「ジョニーの仕事」と明言を避けつつ、優勝候補としてパトリック・チャン(カナダ)を真っ先に、しばらく間を置いてから羽生結弦(ANA)を挙げた。

 「才能うんぬんより、やっぱり安定感。パトリックは五輪の経験もある。中には五輪未経験でも、場数を踏み、大舞台に備えている選手もいる。結弦が好例。彼がクリーンに滑れば、審判はそれに報いる点を出すと思う」

 「パトリックはエッジの深さにスピードもある本格派スケーターだけれど、結弦にはエネルギーがある」

高橋大輔(関大大学院)は、安定感という面で響いてこないという。ハビエル・ヘルナンデス(スペイン)、デニス・テン(カザフスタン)も五輪経験者でかつ世界選手権メダリストだが、同じく安定していないと感じている。

 代表選考でもめるのは常。米女子のほか、1枠しかないロシア男子代表もそうだった。ロシア選手権2位で、欧州選手権には欠場したエフゲニー・プルシェンコが4大会連続(過去3大会は銀、金、銀メダル)で選ばれたが、これには賛同している。

 「これといった選手がいないなら、プルシェンコがいい。彼の伝説はロシア人だけでなく、世界のフィギュアファンも楽しみにしている」

 長野五輪から16年、リピンスキーさんは五輪の舞台が懐かしくなることはなかったという。90年代後半から2000年代半ばにかけてはプロの全盛期、アマチュア時代より人前で滑る機会が多かったからだ。

 「私はラッキー。プロの世界が下火になったころ、体力的にも厳しくなり始め、解説者の仕事を得られた。いま選手だったら、ヨナのように現役復帰したかもしれない。新採点システムは長野五輪時代の6点満点より私向きだと思うことはあるの」(原真子)



2013.10.25 ソチへ好発進 浅田真央の笑顔が映す成長の軌跡

(2013-10-25)

報道機関

日本経済新聞

見出し

ソチへ好発進 浅田真央の笑顔が映す成長の軌跡

配信日

20131025 7:00

◆内容◆

 ソチ五輪シーズンのフィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズが米国大会を皮切りに始まった。浅田真央(中京大)はショートプログラム(SP)もフリーも首位で米国大会を制した。2位、5位に終わり初めてGPファイナルを逃した4年前の五輪シーズンとは見違えるような充実感のある笑顔を見せている。

SPもフリーもプログラムに流れ

 今季のSP曲はショパンの「ノクターン」。シニア1年目にも使った曲で、「浅田らしい」と評価が高かった。フリーはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で、王道の名曲だ。同じラフマニノフでも4年前の「鐘」と違い、テンポがいい。

 初戦はSP、フリーともにプログラム全体としての流れがあったことが印象的だ。SPはトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で、フリーレッグ(着氷しない方の足)が氷面をかすって減点されたものの、クリーンに回ってきれいにプログラムをまとめた。

 フリーはトリプルアクセルで派手に転倒し、3回転―3回転ジャンプが3回転―2回転になった。ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)―3回転も後ろのジャンプは2回転、ほかにも回転不足が出たが、流れは大きく崩れなかった。

もっともっとやれば上を目指せる

 SP73.18点、フリー131.37点。2位は地元・米国のエース、アシュリー・ワグナー。GP大会はご当地選手にやや甘めに点が出ることがある。ワグナーはSP、フリー両方で3回転―3回転の連続ジャンプを決め、ジャンプミスは浅田より少なかったが、フリーの得点は浅田より6.82点も低かった。

 ジャッジが五輪とGP大会では違い、ルールも変わったので単純比較はできない。だが、トリプルアクセルを計3度決めた前回バンクーバー五輪並みの得点に、浅田は「あのときから滑りもスピンも違うし、ジャンプもルッツまで6種類全部(バンクーバーでは苦手意識の強かったサルコーとルッツを回避)入れている。この演技でこれだけもらえるのは満足。もっともっとやれば上を目指せるのではないかな、と思う」。

 

ここ数年で、スピンやステップの得点のとりこぼしはほとんどなくなった。滑りのなめらかさ、スピードは4年前とは比べものにならない。「課題はジャンプだけ」とよく繰り返していたが、「(佐藤)信夫先生とやって3年、いろんなものがかみ合って、手応えを感じている」

予想と演技のギャップ少なく

 2009年世界選手権のころから、浅田は試合によって状態が安定せず、いい演技をしても点が伸び悩む一因になっていた。1112年と世界選手権で連続6位だったが、1213年シーズンはGP初戦から四大陸選手権まですべて優勝。世界選手権も金妍児(キム・ヨナ、韓国)、カロリナ・コストナー(イタリア)に続く3位で3年ぶりに表彰台に上がった。

 演技前の予想と実際の演技にギャップがなくなると、ジャッジも思い切った得点を出せる。それが米国大会の結果であり、五輪に向けて好発進したといえるだろう。

 表彰台に向かって浅田の右側には14歳のエレーナ・ラディオノワ(ロシア)がいた。年齢制限でソチ五輪出場資格はないが、GP大会だけ出場している。彼女を見て浅田は「緊張と楽しみでいっぱいなんだろうな。今は楽しめることを楽しめないときもあると思うけれど……」。

笑顔と無邪気さ、世界中をとりこに

 今のラディオノワは8年前の浅田の姿を思い起こさせる。当時の浅田はスケートにまつわる何もかもが楽しくて仕方ないようで、記者会見でもキョロキョロしていた。何を聞いても答えは「トリプルアクセル!」。その笑顔と無邪気さは世界中をとりこにした。

 そんな浅田はバンクーバー五輪後、佐藤コーチの指導を受け、基本のスケーティングから学び直している。「彼女は普通のレベルじゃないから。普通のレベルの選手ができないなら、『やるしかない』ってなれる。あのレベルの人が振り出しに戻るなんて、めったにできることじゃないから」と佐藤コーチ。

 世界女王に2度もなり、五輪では銀メダリスト。金妍児に五輪で敗れたものの、今のままでも十分成績はとれる。わざわざ情けない姿を見せてまでやるのはなぜか。

 

「銀メダルだって十分ハッピーでしょう。どうして一から始めたの? ヨナとの差を感じたから?」と外国メディアがたずねた。

 「銀メダルはすごくうれしい。でも、ジャンプがそのシーズンから乱れてきて、自分自身が許せなかった。スピンもスケーティングもだけど、一番はジャンプだった」と浅田は答えた。

意志は強いが、臆病な面も

 浅田はとても頑固で、意志が強い一方、臆病な面もある。

 スケートの魅力と美しさの基本は、スピードだ。ジャンプを失敗したくないがため、バンクーバー五輪のころの浅田は慎重になり過ぎて、スピードが15歳のころよりかなり落ち、苦手なジャンプも回避していた。

 しかし、スピードがあるからこそ勢いがついて、トリプルアクセルの成功率も高まる。いろいろなジャンプを跳べた方が、満遍なく得点がとりやすい……。理屈を言われれば「そうかな」と言うものの、浅田はなかなか踏ん切れなかった。

 佐藤コーチについて4年目。「極端な言い方ですけど、きちんと話を理解してもらえるようになった。どうしてスピードが必要なのかとか、徐々に体で分かりつつあるから、頭でも理解しつつある」(佐藤コーチ)

全面的に信頼できるコーチに師事

 練習しないと不安な浅田は隠れて練習したり、「体が重いから跳べないのではないか」と思い過度なダイエットに走ったりすることもあった。「休めと言ったら、今はきちんと休むか」と聞くと、「はい、やっと」と佐藤コーチは苦笑い。米国大会には公式練習の3日前に現地に入るようにというコーチの提案に素直に従った。これまでは「練習時間が減るから不安」と、直前にしか入らなかったのに。

 おそらくシニアになって初めて、浅田は全面的に信頼できるコーチを持てたのではないか。ここに来て、2人が目指す演技も合致してきた。

 

 3年前の浅田は「昔のような軽やかなジャンプを取り戻したい」と話していた。「そういうときもあったけれど、今は信夫先生と自分の理想を求めている」。コーチに言われなくても、米国大会のようにプログラムの流れを意識するようになった。

良いときも悪いときも多くの応援

 佐藤コーチは、何としてもトリプルアクセルを跳びたがる浅田を「まだ厳しい」と押しとどめてきたが、今季は初戦から「ゴーサイン」を出している。米国大会での挑戦も、無謀なものでなくなってきている。ただ、今回のフリーのように派手にトリプルアクセルを転ぶと、体力を奪われる。ジャンプは水もので、試合でどうなるかは分からない。「ミスしても滑り切る体力と、自分を保つ強さ」を課題としていたからだ。

 浅田が今季限りで引退を決めているのは、フィギュア界で知れ渡っている。「あなたは小さいころからセレブでしょう。セレブであることに疲れた? それとも楽しんでる?」。外国メディアに聞かれると、「どっちも。大変なこともある。でも良いときも悪いときも、たくさんの人に応援してもらえてうれしいです」。

 06年トリノ五輪からバンクーバー五輪までの4年間、浅田と金妍児という10代の少女が繰り広げた別次元の戦いは、女子フィギュア史上最もハイレベルで魅力的なライバル物語だった。

 この年代で頭角を現しても、体形が変わったりケガをしたりプレッシャーに負けたりして、成績を落とすか、フィギュア界から消えてしまう選手が多い。しかし2人は一度も国際大会で6位を下回ることがなかった。大ケガもせず、驚異的な才能と精神力で駆け抜けてきた。

「やってきたことを五輪で出したい」

 金妍児をどう見ているのか――。日本人記者が聞きづらいことでも外国メディアはズバっと聞く。浅田は悠然と応えた。

 「10年まではライバル意識があった。メディアもファンも注目していた。少し大人になって、そういう思いより、やってきたことを出したいなと思う」。本心なのは聞いていて分かった。

 ここに至るまで、23歳にして乗り越えてきたものの大きさを思う。「またスケートが楽しくなってきた?」と尋ねたら、「う~ん、ふふふ~」と思わせぶりな表情で首をかしげた。10代のころは「スケートこそ、真央の人生」という感じだったのに……。

(原真子)



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