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10/15 引退発表のフィギュア高橋大輔が演じた音楽の軌跡 ヒップホップなど取り入れた革新性を振り返る

(2014-10-15)

報道機関

Real Sound

見出し

引退発表のフィギュア高橋大輔が演じた音楽の軌跡 ヒップホップなど取り入れた革新性を振り返る

発行日

20141015日 

http://realsound.jp/2014/10/post-1530.html

◆内容◆ 

フィギュアスケート男子シングルの高橋大輔選手が、20141014日、地元岡山・倉敷で行われた記者会見にて、20年に渡る現役生活を引退することを発表した。高橋といえば、2002年世界ジュニア選手権優勝、2010年バンクーバーオリンピックでの銅メダル獲得、同年の世界選手権優勝、そして2012年にはGPファイナル優勝と、数々の“日本人初”を獲得し、日本男子フィギュアを牽引してきた立役者。20142月のソチオリンピックの後、一年間の休養を発表していたが、昨日突然の引退発表。NHKを始め各メディアはトップニュースとして報じ、ネット上は彼の引退を惜しむ声で溢れた。
 高橋はスケーターとして王道の存在感を示しながらも、様々なジャンルの音楽を実験的に氷上で演じてきた選手としても知られている。なので今回は、高橋がフィギュアスケートの世界に持ち込んだポップミュージックと、斬新なプログラムを紹介してみたい。
 フィギュアスケートで用いられる代表的な音楽として、クラシックやオペラが上げられるのは周知の通り。その他にはラテンやタンゴ、映画音楽を使用する選手も多い。ちなみに今シーズンからルール改正によりヴォーカル入りの楽曲の使用が認められ、トップ選手の多くが使用を発表している。
 高橋といえばバンクーバーオリンピックでの『道』や、代名詞とも言えるラテン系の“濃い”プログラムが頭に浮かぶ方も多いだろう。しかし実は高橋の名前を一躍有名にしたのは、フィギュアスケートのプログラムとしては異例のヒップホップに挑戦した、2007-2008シーズンのショートプログラム『白鳥の湖~hip-hop ver.~』。お馴染みのメロディーをヒップホップにサンプリングした楽曲で、おそらくスクラッチの音が競技会でリンクに響いたのはこれが初めてのことだ。ヒップホップダンスを大いに意識した細かいステップと、上半身の大きな動きが特徴的なこのプログラムは、高橋曰く「スケート界の中での知名度を上げてくれたプログラム」。さらにこの年は、今や世界的に活躍する日本人振付師・宮本賢二が初めて高橋のエキシビションを制作し、楽曲にビョークの『バチェラレット』が使われた。“バチェラレット”(独身女性)を主題とした楽曲を、当時21歳の高橋が演じたこのプログラムのコンセプトは“拍手の出ないプログラム”。その独特な世界観が大きな話題となった。

 その後高橋は2008年右前十字靭帯を断裂するという大怪我に見舞われるが、手術、そして長いリハビリを経て臨んだ2010年のバンクーバーオリンピックで、日本人初となる銅メダルを獲得する。このシーズンのエキシビションで使われたのはDJ OKAWARIの『Luv Letter』という楽曲。ピアノを主にしたメロウなハウスナンバーに、着物をアレンジした衣装で和の美しさと儚さを表現したこのプログラムは、オリンピック、そして同年金メダルを獲得した世界選手権のエキシビションでも披露された。
 そして高橋のプログラムの中でも非常に音の解釈が難解とされた作品が、2011-2012シーズンのフリープログラム。フランスのジャズミュージシャン、エディ・ルイスによる『ブルース・フォー・クルック』だ。この楽曲自体は過去にもフィギュアで使われたことのある楽曲ではあるが、一般的に体を乗せるのが難しいとされるブルースのリズムを演じ切った高橋は、このシーズンの国別対抗選手権で一位を獲得。日本チームを優勝へと導いた。
 最後に触れておきたいのは、普遍的なポップスを演じた2013-2014シーズンのフリープログラム『ビートルズ・メドレー』。事実上引退試合となったソチオリンピックでの、演技終了後の高橋の笑顔が記憶に新しい方も多いだろう。“Yesterday”、“Come Together”、“Friends and Lovers”、“In My Life”、“The Long And Winding Road”というビートルズの代表曲をストリングスでメドレーにアレンジし、高橋のスケート人生を描くように構成された、美しく力強いプログラムだ。

 長きにわたり、日本のエースとして男子フィギュアを背負ってきた高橋大輔選手。技術面のみならず、芸術性という面でも常に新しい挑戦を続け、彼にしか出来ないプログラムを演じてきた。どんなジャンルの音楽も自分のものとして表現し、世界中のスケートファンに愛された稀代のスケーターの引退が惜しまれるが、これからでもぜひ、音楽と融合した高橋のスケートの世界に触れてみて欲しい。(文=岡野里衣子)

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