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10/24 フィギュアのルール改正のポイントは? 求められる、より正確で美しい演技

(2014-10-24)

報道機関

Sportsnavi

見出し

フィギュアのルール改正のポイントは? 求められる、より正確で美しい演技

発行日

20141024日 10:45

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1415/columndtl/201410120001-spnavi

◆内容◆ 野口美惠

 いよいよ2018年平昌五輪(韓国)へ向けての、新たな4年間がスタートした。国際スケート連盟(ISU)にとって五輪後のオフは、大きなルール改正を実施するタイミングでもある。14−15シーズンからのルール改正は何か、そして今後4年のフィギュアスケートの方向性はどうなるのか。ポイントを読み解く。

30秒ルールとボーカル解禁

まず試合全体に関わる主な変更としては、「30秒ルール」と「ボーカル解禁」がある。
 開始時間については、これまで、選手は「自分の名前を呼ばれてから60秒以内にスタートポジションに立たないと棄権とみなす」というルールがあったが、さらに「30秒以内に立たないとマイナス1点」となった。ただしグループの第一滑走者は60秒まで許される。
 30秒は選手感覚としてはかなり短いもので、9月に行われたロンバルディア杯では、無良崇人(HIROTA)が演技開始遅れでマイナス1点されている。運用に慣れるまでは、選手によっては慌てることもあるだろう。
「ボーカル解禁」はすでに話題になっているが、これまではアイスダンスのみ認められていたボーカル曲を、シングルとペアでも解禁する。以前は、歌詞の内容が表現力に影響する不公平を無くすために、ボーカルは禁止されていた。今回は、選曲の幅を広げ、より多様な演技を期待するための改正だという。
 解禁の影響を受けて、今季は『オペラ座の怪人』を始めとしたミュージカル、映画、またオペラなどを使用する選手が一気に増えた。よりドラマティックな演技が期待されるだろう。

ジャンプはより多様な種類を正確に

ジャンプは、より多様なジャンプを正確に行うことが求められるようになった。大きな変更は下記になる。
(1)ルッツとフリップのエッジエラーについて
 ルッツはアウトサイド、フリップはインサイドで踏み切れなければならないが、「明確な違反(eマーク)」と「不明確(!マーク)」の2段階に評価され、「明確な違反」は二重に減点されることになった。
「明確な違反」は、基礎点が70%になった上、GOEが「−2〜−3、かつ最終的に必ずマイナス」となる。例えば3回転ルッツが明確に違反だと、基礎点の6.0点が2.1点になることも。一方、「不明確」の場合は、基礎点そのままで、GOEが「−1〜−2」となる。(※GOE=出来映えによる加減点)
 フィギュアスケートの採点で、選手のミスを「ダブル減点」するのは初めてのケース。それだけ国際スケート連盟は、ルッツとフリップのエッジに対して厳格化を図ろうとしているのだ。減点のリスクが大きくなったため、ルッツやフリップのエッジが不明確な選手が、ジャンプを回避する傾向も現れている。

(2)同じジャンプの繰り返しは70%の基礎点に
 フリーで、同じジャンプの繰り返しは「+REP(repeat)」マークがつき、基礎点が70%になる。
 昨季までは、同じジャンプの繰り返しは「+SEQ」マークがつき、基礎点が80%になり、「連続ジャンプ」を1つ跳んだと見なされていた。すると「連続ジャンプは3回まで」という規定のカウントが複雑になり、選手としては演技中に混乱することもあった。
 ソチ五輪ではハビエル・フェルナンデス(スペイン)が、予定していた4回転サルコウが3回転になったために3回転サルコウを2度跳んだと見なされ「+SEQ」となった。結果、連続ジャンプが4回とカウントされ、規定違反で0点となってしまった。今季からは、演技後半にジャンプをリカバリーしようとする努力を評価するため、連続ジャンプとしてカウントすることはなくなった。
(3)2回転ジャンプはそれぞれ2度まで
 フリーでは、2回転ジャンプはジャンプ1種類につきそれぞれ2回までとなった。
 この改正で困ったのは、連続ジャンプの後ろに「ループ」をつけるのが苦手な選手。連続ジャンプの2つ目・3つ目はすべて「トウループ」にする作戦が使えなくなったのだ。グレイシー・ゴールド(米国)は卓越したジャンパーだが、後ろに「ループ」をつけるのが苦手なため、今季は、連続ジャンプそのものを1つ捨てる、という状況になっている。

・スピンは正確性を厳密化

スピンは、「難しさ」の面で非常に細かく分類することになった。
(1)スピンの難度による「V1」「V2」のランク分け
「足換え」スピンで、左右の脚ともに「基本姿勢」を満たしていないと「V1」がマークされ、基礎点が下がる。
 また「足換えなしで、1姿勢の、フライングスピン」に限り、「はっきり分かるジャンプ」「着氷後2回転以内に基本姿勢になり、2回転以上保持」の2条件が満たされないと、「V1」「V2」のマークがつき、基礎点が下がる。
(2)コンビーションスピンの分類
 コンビネーションスピンは、「アップライト」「シット」「キャメル」の基本姿勢の数により、ランクを分ける。基本姿勢2つなら「2p」、3つなら「3p」と記載される。
(1)(2)の改正を受けて、スピンの技術役員による判定は、かなり複雑になった。例えば、「FCCoSp2p3V1」と表記された場合は、「フライングの入りで」「足換え」「コンビネーション」スピンで、「ポジションが2つ」「レベル3」「片方の脚に基本姿勢がない」となる。選手にとっては、これまでのようにレベル4を狙うだけでなく、より明確な姿勢のスピンを行う必要が出てきた。

コレオシークエンスはより自由に

 ジャンプとスピンが厳格化された一方で、コレオシークエンスはより芸術的な表現を求め、内容がかなり自由になった。
 まず「形状が自由」になり、「ステップシークエンスの前に行っても良い」ことに。さらに2回転までのジャンプ、2回転までのスピンを入れて良いことになった。コレオシークエンスの中で、曲の盛り上がりでアクセントとして2回転ジャンプを入れるなど、これまでにはない創造豊かな演技を試すことができる。
 一方で、「コレオシークエンス」がはっきりしていないと「つなぎ」に見えたり、逆に、質の高い「つなぎ」が「コレオシークエンス」に見えたりすることもあり得る。ぜひ「つなぎ」を「コレオシークエンス」と間違えるくらいの、切れ目がない名演技を期待したい。

・全体でミスなく、質の高い演技

 今季の改正で、全体としては「ミスのない」「質の高い」演技を求める傾向が強まった。別の視点で見れば、トップ選手の技術レベルが高止まりし、ほぼ互角になっていることの裏返しでもある。「小さなミスを大きく減点」しないと、得点差が出ないのだ。
 ソチ五輪では、「男子は4回転ジャンプ2本」「女子は3回転+3回転の連続ジャンプ」というのがトップグループ入りの目安であり、しかも多くの選手がそのレベルに達していた。となると、その技をいかに質が高く、正確に行ったか、が技術レベルの差になる。
 また今季の改正で意味深いのは、「不正確なジャンプやスピン」について、質のマイナスだけでなく、難しさの基礎点まで引かれるようになったことだ。「ダブル減点」については、これまでISUが回避していたが、今季から実施に踏み切ったということは、「技術要素はより正確に」というISUの方向性を意味する。
 いずれにしても、フィギュアスケートの求めるゴールが変わったということではなく、今までも正確で美しいものを求めてきたのが、さらに厳しくチェックしますよ、という改正である。選手達にとっては、自分の技や演技をもう一度振り返り、よりブラッシュアップすることが求められている。
201410120001-spnavi_2014101200002_thumb.jpg 

 201410120001-spnavi_2014101200001_thumb.jpg スピンはレベル4を狙うだけでなく、より明確な姿勢で行う必要が出てきた

今季はSP、FSともに「オペラ座の怪人」を滑る村上(写真)をはじめ、ボーカル入りの曲を選ぶ選手が一気に増えた
201410120001-spnavi_2014101200003_thumb.jpg 

ソチ五輪では連続ジャンプの規定違反もあり4位に終わったフェルナンデス。今季からはその規定がなくなる

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